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女子界修行デトックス Vol.4 見えない威嚇に怯える女子

美醜、女子力、SNSでのお作法など、立ち振る舞いの難しい修行のような女子の世界。溜まりにたまった鬱屈とした気持ちのデトックスを目指す、ほんの少しだけ後ろ向きな連載です。
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 先日、知人男性(32)が「僕、“女子高生”が好きなんですよ。現実の女子高生ではなく、美しい部分だけを切り取られた映画作品とかの女子高生が」と言っていました。続けて、「実際はアイドルみたいな女子集団なんてドロドロなんでしょう。やだやだそんなの。現実に疲れたから女のコを束で見たいのに」と。つまり、大勢の女のコは見たいけど、女子の世界のややこしい部分は一切見せないで、という注文。無茶言うでないよ。だったらリカちゃん人形シリーズでも並べて眺めていてほしいものです。というか何? あらゆるインターネットでこれでもかってくらい「女の足の引っ張り合い」だの、「女のランク付け」だの書き散らかされている昨今、まだそんな夢物語を描いているのか、と言いたい。乙女か。少女マンガか、チミは。まあ……、“ドロドロ”の存在を認識している上でのこの発言ということは、結局アイドルもファンも互いがすべてを分かっていながら壮大なキャッキャウフフなプレイをしているのかもしれませんが……。

 しかし、女性アイドルが何かコンテンツを世に放てば放つほど序列が滲み出てきてしまうもので、ここで思い出したいのが、先月の松井珠理奈がセンターに決まった「第4回AKBじゃんけん大会」。そしてもうひとつ、指原莉乃がセンターに選ばれた「第5回選抜総選挙」。

 松井珠理奈がパーを出し続けて優勝したじゃんけん大会は、どちらかというと八百長説のほうが目立つなか、吉田豪さんはあれは珠理奈の“無言のプレッシャー”ゆえの結果だ、と自身の記事(http://n-knuckles.com/serialization/yoshida/news000430.html)で主張しています。曰く、対戦相手は松井珠理奈から「あなたがセンターになってもミリオン出せる?」とプレッシャーを感じてしまってチョキを出せなかったのだ、と。また、実際に日本武道館にじゃんけん大会を見に行った知人Nはこう言っていました。「指原がセンターになったときの世間の微妙な空気を思い出した。序列を崩したらダメ、崩していいのは運営側や超選抜メンバーが描いているストーリーに沿った者のみ、という意識」。

 このじゃんけん大会の真相が実際にどうだったかは置いておいて、女子集団には確かにこういったパワーバランスが存在します。指原がセンターになったときは、“イケてるグループのトップ”にいるはずだった大島優子と渡辺麻友ではなく、「なぜあなたが?」という空気が。そしてじゃんけん大会では、「現場では、珠理奈を蹴落としてまでチョキを出せない雰囲気があって、女子集団のリアルを見てしまった思い」(知人N)と、チョキを出す資格がないと委縮し。いつだって、人気のある枠にいる人がその人気にふさわしい言動を期待され、そうでない枠にいる人は、身の程を知った言動を期待されます。

 高校時代、毎年運動会で扇情的な応援ダンスを踊る「ピンク団」という生徒の自主企画があったのですが、「Aちゃん、ピンク団やらないの?」「あれは選ばれし者の集団だから……」といった会話が各所で交わされていたのを覚えています。当然、「ピンク団」には茶髪のコ、オシャレなコ、彼氏がいるコ、声が高いコ、いち早く16和音の携帯電話を持ち始めたコとか、そういう面々が名を連ねていました。つまり、「あなたがセンターになってもミリオン出せる?」ならぬ、「あなたがピンク団に入ってもこんな魅力的なダンスを踊れる?」というわけです。

 ですが、20数年の女子人生を思い返して、何もこの“力ある者から感じる圧力”は、美貌やモテ度方面に限った話ではないことに気づきました。学年に数人だけが担当する合唱のピアノ伴奏では、ピアノが上手な人(で、なおかつ上手いと周囲に吹聴している人)たちが、自分より力量の低い人へ「あなたが伴奏を担当して上手く弾ける?」と牽制し、テニス部やバスケ部では、レギュラーの座を巡った圧力のかけ合いが……。「ボール拾い」の文化は、先輩たちが後輩にポジションを奪われないために生まれたのかもしれません。ピンク団で肩を出して踊る傍ら、テニス部ではボール拾いをさせられていた人だっているはず。

 卒業後何年もたった今でも、「ピンク団」に入れなかったことを思い出してはさめざめ落ち込んでいたのですが、誰しも自分のテリトリーでは誰かを無意識に威嚇していることを思うと、少し成仏することができました。

 ……まあ、「ピンク団」的な人のほうが、圧倒的にどこへ行っても“強者”である場合が多いのですが。

 生きろ。(そなたは美しいと自分に言い聞かせながら……)

●今日のデトックスポイント:人は業の深さの分だけ、無意識に威嚇をする生き物。

<文/朝井麻由美>

(この記事は、2013年8月~「tiite」というサイトで連載していたコラムです。サイト自体がなくなってしまったので、こちらに転載いたしました。)

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